1日のロンドン市場は、ユーロが堅調に推移しており、リスク選好ムードが継続した形。欧州株は神経質に上下動しているが、大きな動きにはなっていない。この日実施されたスペイン債とフランス債の入札はいずれもほぼ目標額を調達しており、引き続き利回り水準は高いものの無難な結果といえそうだ。序盤はやや売りから始まったユーロ相場は株式の反発の動きを伴って上昇している。ユーロドルは1.34台前半から一時1.35台乗せ、ユーロ円は104円台前半から105円手前まで上昇してそれぞれ日中の高値を更新した。豪ドルは下に往って来いとなった。序盤は79円割れへと軟化した豪ドル円は、79円台半ばへと戻しており、下げは一服している。ドル円は77.60-70レベルでの揉み合いが続いている。
ただ、市場は昨日の熱狂的なリスク選好ムードからは落ち着いてきている。アジアタイムに発表された中国PMIは49.0予想をし下回る結果だったが、ロンドン市場で発表された各国のPMIも景気判断の分岐点である50を下回るものばかりだった。また、当局者からは注意を喚起する発言が相次いでいる。ドラギECB総裁は欧州議会で、ECBの景気見通しへの下振れリスクは増した、ECBの債券市場への介入は 限定的にのみ可能、市場の機能不全がECBの政策運営を妨げている、との認識を示した。フィッチのライリー氏は、危機悪化ならフランスやイタリアの格下げの可能性もある、と述べている。また、キング英中銀総裁は、銀行が直面するスパイラルはシステミック危機に、と警戒していた。米格付け会社S&Pは、豪州主要銀行の格下げを発表している。独経済相が、欧州共同債を拒否する事を改めて述べるなど、全般にネガティブ・トーンの発言が多かった。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)