米ウォールストリート・ジャーナルは30日付の電子版で、米国の通信サービス大手、TモバイルUSAの買収を計画している米AT&Tが「Bプラン」(代替策)検討中だと報じた。
インフラ保有の合弁会社を設立
事情に詳しい関係者の話として、AT&Tは米規制当局から買収計画を阻止された場合に備え、TモバイルUSAの親会社であるドイツテレコムと合弁会社設立の協議を行っていると伝えている。
この合弁会社にTモバイルUSAのネットワークインフラを移管し、それをAT&Tが自社サービスに利用するのだという。
AT&Tが喉から手が出るほど欲しがっているのは、TモバイルUSAの周波数帯や基地局などのネットワークインフラだからだ。
過密する大都市圏でスマートフォンなどの利用が拡大しており、TモバイルUSAのインフラを利用できれば、通信容量が増え、サービス拡充や顧客拡大につなげられる。LTE(Long Term Evolution)と呼ばれる次世代通信技術の導入も迅速に進むとAT&Tは考えている。
FCC、調査リポートでAT&Tを批判
ただ、AT&TはあくまでTモバイルUSAの買収を第一にと考えており、今後も当局と戦っていく姿勢を示している。一方のドイツテレコムは、競業企業が台頭する米国市場で苦戦を強いられており、資産を売却して同国市場から撤退したい考えだ。
ところがこの買収計画を巡っては、米司法省が独占禁止法訴訟を提起しており、来年の3月に裁判が開かれる予定。またAT&Tとドイツテレコムに立ちはだかる問題はこれだけにとどまらない。米連邦通信委員会(FCC)が買収計画を阻止しようと動き出しているのだ。
そこで両社は「まずは司法省からの承認を勝ち取るために注力する」ことを理由に、FCCへの承認申請をいったん取り下げた。司法省の訴訟が終わった後に承認申請を再提出する計画だ。
しかしここに来てまたもやAT&T側にとって不利な状況になってきた。