日航、会社更生法を申請 1万5千人削減へ

公的資金投入後、どこまで安売りが許されるのか?(参考写真)〔AFPBB News〕

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 ANAの関係者がこう話す。「JALは1.19以降、矢継ぎ早にバースデー割引の復活やマイル割り増しキャンペーンを打ち出してきた。こちらも対抗せざるを得ないが、公的資金という原資がないのにやらなければならず苦しい。彼らは大盤振る舞いした後でまた弱ったとしても、毎回注射(=公的資金)を打たれてゾンビのように復活してくる」

 「東京から北海道行き航空券ではJALの実質収入が800円」などと週刊誌に報じられ、俄かに注目を集めたキックバック(代理店への販売奨励金)についても、なくなる兆しが全く見えないという。こうした批判が渦巻く中、個々の旅行代理店にどこまで値下げを行うか。JALにとって、頭の痛い問題であるに違いない。

中国・広州便でかつてない高い料金を提示したJAL

 その一方で料金提示が遅れれば遅れるほど、代理店は航空券を売れず、JALは自らの首を絞めることになる。冒頭で紹介した男性の経営する代理店の場合、4月以降の料金は結局、3月第2週に入ってようやく決まったという。

日航、19日に会社更生法の適用申請へ

「空気」を運ぶぐらいなら、運賃値下げで・・・(参考写真)〔AFPBB News

 だが中国・広州便など一部路線では、これまでにない高い料金が示され、「本当に売る気があるのか」と男性は首をかしげる。「広州便は中国南方航空とのコードシェアだが、通常は機材を持っていない航空会社(=この場合は中国南方)の料金が高くなるのに、JALの方がはるかに高い金額を出してきた。JALを応援してあげたい気持ちはあるのだが、これでは客が買ってくれるわけがない」

 もちろん、代理店向け料金はそれぞれ個別の相対交渉で決まるため、局地的な現象である可能性を完全には排除できない。

 しかしこの会社は近年、取扱高が増えており、思い当たるようなトラブルもないという。男性は「JALにしても空席のまま飛行機を飛ばすわけにはいかず、結局は直前になって投げ売りせざるを得ないのではないか」と危惧している。

6月の更生計画案がポイント、説得力や一貫性がなければ・・・

日航の救世主となるか、稲盛氏の横顔

稲盛会長の下、JALは現実的な再建計画をつくれるか?〔AFPBB News

 こうした事態はいつまで続くのか。1つのポイントはJALが6月末までに出してくる更生計画案だろう。この中で人員や路線、機材などとともに、それぞれの路線でどれぐらいの利益を目指すのかという計画がパッケージで示されるとみられる。

 稲盛和夫会長の下、整合的で現実的な計画が出てくればよい。だが説得力を欠く中身であったり、一貫した方針がみられなかったりした場合には、いよいよ再建そのものが怪しくなる。

 これまで幾度も非現実的な経営計画を立てては実現できず、JALは公的支援に頼ってきた。料金設定の突き付ける問いが、折れた翼に重くのしかかる。