元総務相・鳩山邦夫の自民党離党、新党結成騒ぎは3日と持たなかった。頼みの元財務相・与謝野馨も前厚生労働相・舛添要一も連携に慎重姿勢を示し、邦夫はあっという間に孤立した。カネはあっても人望がなければ人はついて来ない。しょせんは「自民党の断末魔の動き」とも指摘されている。
自民党にとって邦夫の離党自体は痛くもかゆくもないが、党の内情は深刻だ。特に園田博之の幹事長代理職辞任は大きな打撃となった。党の現状に対する園田の危機感は強く、進言を聞き入れない総裁・谷垣禎一に対し、ついに見切りをつけたようだ。直ちに新党結成に踏み切る状況ではないが、執行部を離れてフリーとなった政界再編論者・園田の動向は要注意だ。(敬称略)
まず、邦夫の動きを見よう。発端は2010年3月14日のフジテレビの報道番組だった。
鳩山邦夫は現在の自民党について、「賞味期限切れだ。新たに『新自民党』でも『自民新党』でもつくり、出直さないといけない」「覚悟は完全にできている。新党がいかに大変か経験しているが、その苦労をもう1回やってみようと思っている」などと述べ、4月末からの連休前の新党結成を目指す考えをぶち上げた。
テレビに出演して、つい格好良くしゃべってしまったのが邦夫にとっては誤りの元だった。何の根回しも成算もなく突っ走ってしまい、振り返ると誰もいないという状況なのだ。
不興を買った「坂本竜馬になりたい」
鳩山はテレビで「与謝野さん、舛添さん、みんなが一緒になれるように、わたしは坂本竜馬をやりたい。接着剤だ」と意気込みを語った。
だが、この発言に対しては、国土交通相・前原誠司が「私は坂本竜馬が大好きなので極めて不快感を持っている。自民党の古い方々を薩長同盟になぞらえて『一緒にする』と言われても、『はあ?』という感じだ」(3月16日)と批判したように、一部世論の反感を買ったのは間違いない。