健康で快適な暮らしをするために欠かせない薬。病院の処方薬から街の薬局の市販薬まで、私たちは様々な薬に囲まれて暮らしているが、薬である以上、副作用を併せ持つ。薬と上手につき合うために、薬の副作用について考えてみよう。取材したのは、『副作用 その薬が危ない』(祥伝社新書)の著者であり、秋葉原駅クリニックの院長の大和田潔先生だ。

3種類の副作用

大和田潔(おおわだ・きよし)
福島県立医科大学卒。東京医科歯科大学臨床教授。平成19(2007)年に秋葉原駅クリニックを開業。総合内科専門医、日本頭痛学会専門医。著書に『副作用―その薬が危ない』(祥伝社新書) 、『新版・頭痛』(新水社)などがある。

――そもそも薬の副作用は、なぜ起きるのでしょうか?

大和田 副作用の原因はだいたい3つに分けられます。1つは、その薬が本来持っている作用が強まることによって起きるケースです。例えば、睡眠薬は眠るための薬ですが、飲みすぎると昏睡状態になります。

 血糖値を下げる糖尿病の薬は飲みすぎると低血糖に、血圧を下げる薬を飲みすぎると低血圧になるという具合です。だからこそ、薬の量はきちんと守ることが大事なのです。

 2つ目は、アレルギーによる副作用です。薬の種類に関係なくあらゆる薬は、化合物である以上、アレルギーの可能性を持っています。

 3つ目は、その薬が持つメーンとする作用のほかに、別の作用が出てくるために起きる副作用です。いわば、予想もつかない副作用。普通は非常に微弱で問題にならないのですが、ある時、何らかの原因によってその作用が強く出てしまうことがあります。

――副作用は、治験(臨床試験)の段階で分かっているものが大半なのでしょうか?

大和田 病院の処方薬や薬局の薬などは、きちんと治験を重ねているので、副作用が強いものが世に出てくることはありません。ところが、予想できないのはアレルギー反応です。例えば、ビタミン剤を注射してショックを起こして血圧が低下したということも報告されています。

 血液中に直接化合物を入れる行為なので、アレルギー反応を引き起こすことが稀にあるわけです。ですから、そんなに気軽にやるものではありません。