最近、1960年代生まれの共産党若手指導者に注目が集まっている。一部の外国人研究者は彼らを「第6世代」と呼び、12年後の2022年、開明派の彼らが習近平・李克強に代わって権力を握る時、「中国は変わり始める」などと無邪気にも予想している。(敬称略)

 だが、本当にそうなのか。「第5世代」の人事は大方見えてきた。となれば、気の早い中国ウォッチャーたちが改革開放時代に育った「第6世代」に期待するのも無理はない。しかし、残念だが「第6世代」の下でも「中国株式会社」の実態は大きく変わらないだろう。

 今回から2回にわたり、筆者がそう考える理由をご説明したい。

次世代のエリート社員

中国、最高指導部に若手4人を含む9人を選出

第4世代に当たる1940年代生まれの胡錦濤国家主席(左)と温家宝首相(右)〔AFPBB News

 革命「第6世代」は公式には存在しない。中国共産党が認定する革命世代は毛沢東、鄧小平、江沢民の3世代だけだ。1940年代生まれの胡錦濤・温家宝、1950年代生れの習近平・李克強もいまだ「世代」としては認定されていない。

 それでも外国の研究者は勝手に「第6世代」のイメージを描く。1960年代生まれの頭脳明晰な若手、40代に中央委員、地方幹部として経験を積み、いずれは政治局常務委員会に抜擢されるエリート人材、というのが大方の見方だ。

 現在「中国株式会社」でも最も注目されているのが次の4人の若手である。

周強(Zhou Qiang):1960年4月生、湖北省出身、西南政法大学卒。1998年6月、38歳で共産党青年団第一書記。2002年10月、42歳で中央委員、2007年12月、47歳で湖南省長にそれぞれ就任。

胡春華(Hu Chunhua):1963年4月生、湖北省出身、16歳で北京大入学。チベットでの経験が長い。2006年12月、43歳で共青団第一書記。2007年10月、44歳で中央委員。2008年4月、45歳で河北省長、2009年11月、46歳で内蒙古書記に就任。

孫政才(Sun Zhengcai):1963年9月生、山東省出身、北京農林科学院卒、博士。農業の専門家。2006年12月、43歳で農業部長。2007年10月、44歳で中央委員。2009年11月、46歳で吉林省書記にそれぞれ就任。

陸昊(Lu Hao):1967年6月生、陝西省出身、北京大学経済学修士。2003年1月、35歳で北京副市長。2008年5月、41歳で共青団第一書記に就任。