先週が大好評だったので、今週も短いスタイルでお送りする。今週のランキングベストテンには、アジア諸国に関する記事が目立った。『ウォンと株価の急落に身構える韓国』『人民元上昇に歯止めをかける中国』『中国国民の怒り爆発はもう目前? 深刻化する「格差」と共産党幹部の腐敗』などだ。

 先行きが怪しくなっているアジアの経済状況に関する記事が読者の注目を集めているのがうかがわれる。

 上位3本の中で気になるのは第3位の『南シナ海問題の「当事者」となった日本』だ。南シナ海には、中国、ベトナム、フィリピンの間に、南沙諸島の石油資源などをめぐる領海問題がある。

インドや日本を味方にしたいベトナム、フィリピン

 ベトナム、フィリピンは、大国である中国との対話を続けながらも、同時に将来の対立を念頭において、インドや日本という「新たなパートナー」を獲得し、中国を牽制しようと動いている。

 フィリピンのベニグノ・アキノ大統領は、9月末の訪日を前にして、南シナ海に関し「日本の役割に期待する」と表明。訪日時には日本・フィリピン間の沿岸警備隊、海軍同士の海洋分野での協力を謳った声明に署名している。

 この共同声明では南シナ海などの海域名は言及されていないが、中国および欧米のメディアは、声明に盛り込まれた「海洋分野協力」には、軍事的重要性があることを理解している。

 野田佳彦首相とバラク・オバマ大統領との会談についても、日本政府のウェブサイトでは南シナ海問題に一切触れられていないが、9月21日の日米首脳会談でこの問題が議論されたことは米国側のブリーフィングで明らかにされている。

 筆者の宮家(みやけ)邦彦氏は、「どうも公の場で日本が南シナ海問題の当事者になることは、日本政府側のメンタリティと合致しないようだ。このような状況を日本語では『頭隠して尻隠さず』という」と揶揄している。

 外交、国防面で不安が拭えない民主党だが、野田政権にどれだけの覚悟があるかを見守りたい。