マット安川 今回のゲストは、元経産省官僚で、現在はシンクタンクや人材育成を手がける青山社中代表の朝比奈一郎さん。問題視される官僚機構や公務員制度改革について、現場を知る者ならではの目線でお話しいただきました。

霞が関は“成績の上がらない受験生”状態

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:朝比奈一郎/前田せいめい撮影朝比奈 一郎(あさひな・いちろう)氏
青山社中株式会社筆頭代表(CEO)。若手国家公務員主体のNPO法人プロジェクトK(新しい霞ヶ関を創る若手の会)前代表。経済産業省でエネルギー政策、経済協力政策などを担当後、2010年11月に退職、「世界で戦える日本」のための人材・政策・組織作りを目指す青山社中を設立した。(撮影:前田せいめい、以下同)

朝比奈 私は経済産業省に15年近く在籍し、そこで「プロジェクトK(新しい霞ヶ関を創る若手の会)」という会をつくって活動していました。

 いまの霞が関は、ひとことで言うと、成績が上がらない受験生みたいな状態です。朝から晩まで勉強しているのに、なかなか成績が上がらない受験生と同じ。

 景気低迷、学力低下、自殺の増加、少子化といった問題に対し、みんな朝から晩まで本当によく働いていますが、なかなか成果が出ない。だったら、時間は増やせないので、やり方を変えるしかない。受験生が勉強方法を変えるのと同じで、霞が関の政策の作り方を変えた方がいいのではないかという提案活動をしていました。

 プロジェクトKを始めたのはちょうど小泉(純一郎)政権の時で、小泉さんは自民党をぶっ壊すなどとおっしゃっていた。総理大臣というのはいわば社長です。社長がすごい改革をしようとしている、何か変えてくれるんじゃないかという機運もありました。

 私たちの活動に対しては、霞が関の1~2割の人はどんどんやるべきだという感じで、逆に1~2割は目立ちたいんじゃないかとか、余計なことをしやがってとか。残りの6割ぐらいの人たちは気持ちは分かるけれど、一緒にやるとか積極的に応援するというのはちょっと・・・という感じでした。

 昨年の秋に官僚を辞めましたが、その理由は2つあります。1つは霞が関の中でやれることはやったということ、もう1つは改革はまだまだ足りないのでもっと過激に思い切ったことをやらなければという思いです。それで青山社中という会社をつくりました。

 日本をもう一度、世界に誇れる、世界で戦える国に再生することを目指した会社です。社名は坂本竜馬の亀山社中を意識したものです。亀山社中というのは、日本をよくするためだったら時には命懸けで戦いました。これは究極の非営利です。

 かと思うと、貿易をして営利活動をしたり。営利も非営利も関係なくやれることは何でもやる。我々も日本再生のためであれば、営利、非営利問わずいろいろな形で活動をしていこうと考えています。