最近、米国の芸能界では「ピークが過ぎたら、早く死んで稼げばいい」という軽口が流行っている。

 知的所有権の保護が厳格な米国では、マネジメントさえきちんとすれば、有名人は死後も莫大な所得を得ることができる。

 2011年7月に、2年にわたる世界ツアーを終えたロックバンドのU2は、1つのツアーの総収入として史上最高額の7億4000万ドルを得、ローリングストーンズが保持していた記録を塗り替えた。

 ところが、U2のツアー開始と同時期にこの世を去った歌手のマイケル・ジャクソンは、死後2年でおよそ10億ドルを稼いだと推定されている。

 マイケルは、2010年にフォーブス誌が発表した「死亡後に稼いだ有名人」番付では断トツの1位となった。トップ10入りした他の有名人の収入をすべて足しても遠く及ばないほど、彼は死んでから稼いでいる。

 死後に稼ぐ有名人は、歌手や俳優にとどまらない。エルビス・プレスリーやマリリン・モンローと並んで常に番付入りしているのは、舌をぺろっと出した写真が有名な、物理学者のアインシュタイン博士である。あの写真だけでも、相当な額を稼いでいるらしい。ライト兄弟も精神分析学者のフロイトも、事務所に「所属」して仕事をしている。

 他には、スヌーピーで有名なマンガ「ピーナッツ」の作者、チャールズ・シュルツや、「指輪物語」の作者、J.R.R.トールキンも常連である。

今でも引っ張りだこのアインシュタイン

 日本でも歌手や作家が死後に印税で稼ぎ続けるのは珍しいことではない。しかし、米国では死後もマネジャーがついて、新しい仕事を取ってくるのである。

 前述したアインシュタインの死後の「仕事」の1つに、早期幼児教育の教材を世界的に販売する「ベイビー・アインシュタイン」に関するものがある。赤ちゃんや幼児を対象としたビデオやおもちゃが商品で、名前以外はアインシュタインとなにひとつ関係のない内容だ。しかし、アインシュタインの名前を使うことが、商品のイメージアップにつながるのであろうか、この会社は莫大な名前使用料を毎年、アインシュタインのマネジメント会社に支払ってきた(この会社がウォルト・ディズニーに買収されるまで)。

 アインシュタインは、他にイタリアの銀行や米国の自動車会社などのイメージキャラクターとして起用されたり、任天堂のゲームになったりしている。アップルのパソコンに太鼓判を押すという仕事もあった。いずれも、所属事務所と彼のマネジャーが仕切り、きちんと「ギャラ」を受け取っている。