1月8日に発表された米12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が▲8万5000人となり、市場予想中心や弊社予想(▲6万人)よりも弱い数字になった。11月分が改定値で+4000人になり、雇用者数の減少記録には22カ月連続で歯止めがかかったものの、そのままプラス幅が拡大するような甘い状況ではない。10月分は下方修正されており、10・11月分ネットの修正幅は▲1000人である。

 12月分非農業部門雇用者数の主なカテゴリー別に見た増減と筆者コメントは以下の通り。

・製造業のマイナス幅縮小には、在庫補填目的での増産が寄与していると考えられる。

・建設業のマイナス幅が今回急激に拡大したことには、悪天候が寄与した可能性が高い。

・サービス部門の雇用者数は、11月はプラスになっていたが、12月はマイナスに逆戻りした。筆者が指摘していたISM非製造業雇用指数との乖離を埋める動きである。

・クリスマス商戦の時期も小売業の雇用がマイナスを継続したことは、米国の個人消費の基調が弱いことを、あらためて示すものである。

・金融業が小幅ながらプラスに転じたことは、金融市場の安定回復と、ウォール街における人材呼び戻しの動きを反映したものだろう。

・景気楽観論者が重視する人材派遣(temporary help services)は5カ月連続の増加になったが、プラス幅は前月を下回った。

・政府の雇用は3カ月ぶりにマイナスに転じた。連邦・州・地方いずれもマイナスである。今後は、連邦政府については国勢調査に関連した雇用増加が見込まれる一方、州・地方については財政事情悪化を背景に人減らしの動きが出てきやすいと考えられる。

 今回の雇用統計ではこのほか、失業率が10.0%、週平均労働時間が33.2時間、うち製造業が40.4時間で、いずれも前月から横ばいとなった。時間当たり賃金は前月比+0.2%で、前年同月比は+2.2%に鈍化した。失業率は3カ月連続で10%台となっており、平均失業期間は29.1週(前月比+0.5週)で、過去最高をまたも更新。11月中間選挙を前に、オバマ大統領は焦りの色を隠せなくなっている。