2008年5月12日、四川大地震が発生し6万人以上の死者が出た。あれから1年半経った今、被災地周辺を訪れた。被災地故に被災地らしさが残る一方で、ある意味で想像を超える光景がそこにはあった。

大地震からの復旧が急速に進む四川省

被災した家

 四川大地震は四川省成都の北西にあるアバ・チベット族チャン族自治州汶川県で発生した。四川省の中心に位置する成都市の中心から北西に高速道路を走ると、世界遺産の都江堰に着く。

 ここまでは四川盆地なので、道は平坦だが、都江堰から汶川県へは従来は山を越えなければならず、くねくねした山越えの道を右へ左へ進むことで、汶川の最初の街であり、最も壊滅的な被害を受けた街「映秀鎮」に到着する。

 そこからさらに車で1時間ほどで汶川の市街地に着く。映秀鎮から離れれば離れるほど被害は小さくなるわけで、汶川県の県都は地震の被害は受けているが、映秀鎮ほどではなく、中心地の繁華街ではヒビの入った建物が多数確認できるものの、その下の商店街は普段通りの活気がある。

高速道路入り口。新しく作られたトンネルも見える

 「“従来は”山越えをしなくてはならない」と書いた。実は震災から今に至るまで現在進行形で汶川県を中心にして、復旧事業が日夜続けられている。

 成都から都江堰の高速道路はさらに震源地の方向へと延長され、トンネルを通し映秀鎮までつながってしまった。

 中国、ましてや内陸で、元々、幹線道路でもなく中国国内外から観光客が来ないような地域への道路で、日本のようにトンネルのある高速道路というのはまずあり得ない。

 それがここに存在するのは、震災復興を旗印に建設された高速道路だからである。