同氏は、「ある事業で成功を収めた企業は新規事業への進出が遅れる。既存の事業を守るためにそうした力が働く。しかし迅速に動いたため衰退するという企業はあまりないが、動かなかったために衰退していく企業は多い」とし、DVDレンタルという事業がやがては衰退していくものであることを示唆した。
一方で、ストリーミング配信サービスは日進月歩で、絶えず技術革新と投資が必要な分野と説明。この2つの事業はコスト構造が完全に異なるため分離が不可欠だとし、顧客に理解を求めた。
これに伴って同社はDVDレンタル事業を「クイックスター(Qwikster)」に改称する。映画のストリーミング配信サービスは従来通り「ネットフリックス」で展開していく。またDVDレンタルは需要がある限り続けていくとも説明している。
米国ではDVDレンタルチェーンのブロックバスターが2010年に倒産した。その要因の1つとなったのがネットフリックスの宅配形式のサービスだったと言われるが、そのネットフリックスも今度はストリーミングという新たなサービスに移行しようとしている。
この戦略転換は将来の事業を見据えた英断と言えるのかもしれない。ただし、拙速にことを運んだために顧客の不満を招き、大きな騒動になってしまったことは否めない。