日本人は米中関係を「東京」という窓から見るが、インド人はこれを「ニューデリー」から眺めている。当たり前じゃないかと叱られそうだが、インドの立場に立って改めて考えてみると、同じ「米中関係」がより立体的に見えてくるから面白い。
前々回はオバマ訪中を巡る日米メディアのギャップについて触れた。今回は、日本ではあまり報じられない「インド人が見る米中関係」と「中国人が見る米印関係」のギャップについて考えてみたい。
大歓迎を受けたインド首相の訪米
北京で中国の国家主席と会談した翌週、オバマ大統領はインド首相をワシントンに迎えた。マンモハン・シン首相はオバマ大統領就任後初めての国賓である。ホワイトハウス南庭には特別に巨大テントが張られ、招待客400人の大晩餐会が厳かに催された。
席上オバマ大統領は米印関係を「偉大で拡大するパートナーシップ」と呼び、ガンジー首相とキング牧師の精神の共通性に言及した。シン首相は、オバマ大統領就任を「民主主義、多様性、機会平等を尊ぶすべての人々の心を鼓舞するもの」と賞賛した。
今回発表された共同声明で米印関係は「グローバルな戦略的パートナーシップ」だと謳われている。米印両国が民主主義、多元性、寛容、自由と人権の尊重といった普遍的価値を共有していることにも言及された。いずれもオバマ大統領訪中の際に発表された米中共同声明ではあり得ない文言である。