イベントや見本市が絶えないパリ。その中でも、この季節の年中行事としてすっかり定着したのが「サロン・ド・ショコラ」。チョコレートの見本市だ。
今年で15年目になるこのイベントは、パリの南に位置する巨大な見本市会場のうちの1つのパビリオンを使い、1万4000平方メートルの規模で、フランス全土はもとより、世界各国から参加した数々のスタンドが並び、様々なデモンストレーションが繰り広げられるというもの。もちろん、それらのすべてがチョコレートに関している。
年々盛況になり今年は14カ国で開催
パリに暮らし始めた10年ほど前、初めてこのサロンに行った記憶があるが、現在では国立ケ・ブランリー博物館になっている敷地に仮設のテントを張ったしつらえで、にぎやかではあっても、今の華やかさに比べたら全く地味なものだった。
それが、年を追うごとに規模は拡大し、出展者も増え、この季節の話題の1つになるほどの隆盛を見せている。
しかも、その拡大ぶりはパリだけにとどまらず、ニューヨーク、モスクワ、上海など、開催は14カ国にもなる。バレンタインデーの直前に、東京をはじめとする日本各地で開かれているのをご存じの方も少なくないだろう。
さて、この「サロン・ド・ショコラ」の生みの親は、シルヴィー・ドゥースさんと、フランソワ・ジャンテさんのカップル。
シルヴィーさんの元々の職業は、コミュニケーションアドバイザーで、自動車のメルセデス・ベンツ、ビール会社のハイネケン、高級宝飾品のブシュロンなどと一緒に働いていたというキャリアウーマンである。
1985年にチョコレートメーカー「ヴェローナ」と仕事をすることになったのがきっかけで、それから3~4年後このイベントの計画を思いついたという。
「それまでは誰も考えないことだった。チョコレートは食べることはあっても、こんなふうに話題にすることはなかったわ」
そして、建築家である夫のフランソワさんと一緒に、アイデアの実現に取り組み、94年に第1回目の「サロン・ド・ショコラ」の開催となったのである。