児玉清さんが亡くなって、3カ月が過ぎた。
3月下旬に、体調不良を理由に「アタック25」や「週刊ブックレビュー」をはじめとする番組を休養することが発表されてから約一月半後の5月16日に、児玉さんは永眠された。77歳だった。
私は1度、児玉さんと対談をした。2010年4月9日金曜日のことで、場所は神田神保町にある集英社ビルの2階。同社のPR誌「青春と読書」に載せるために、6月に刊行される拙著『おれのおばさん』を中心に、私と話をしてくださったのである。
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担当編集者から、対談を組もうと思いますが、どなたか意中の方がおられますかと訊ねられて、「特にありませんので、おまかせします」と私は答えた。
単行本の装幀についても、著者としての希望を聞かれることがあるが、私はすべて出版社側にまかせることにしている。
「私は中身の担当なので、あとはよろしくお願いします」と返事をするのが常で、これまで出来上がってきた本に不満を感じたことはない。ただし、装幀に慣れるのにはかなりの月日を要する。
1冊の本にまとまるだけの分量を書くのには短くても半年はかかるし、作品の構想を得てからだと、さらに長い年月がかかっている。それがこうした装幀の本になったと腑に落ちるのにはそれなりの時間を要するものなのである。
『おれのおばさん』についても、青空の下、防波堤らしき場所に数人の少年たちが思い思いに佇んでいる写真を全面に配して、そこにヘタウマのような独特の字体で題名と作者名を並べた装幀が、本文の物語と分かちがたいものとして納得されたのは最近のことである。一目見た時から、これはいいと感激していたのに、今回も相当な時間がかかってしまった。