マスク売り切れ!手作りマスクのアイデア続々

パンデミックを回避できるか?〔AFPBB News〕

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 いよいよ本格的な流行期に入り、一挙に新型向けワクチン製造のアクセルを踏めるかといえば、そういうわけにもいかない。「これから製造を開始して、ワクチンができる頃には大半の人が既に罹患してしまっていて、予防のためのワクチンは無駄になってしまうのではないか」という皮肉なジレンマが待ち受けているのだ。

 そもそも、ワクチン製造を規模の小さな企業・団体に頼らねばならない理由は何なのか。

 ある医薬品関係者は、「インフルエンザのワクチンや抗インフルエンザ薬は人道的な意味合いから重要であることは理解できる。しかし、製造準備に入る段階でどの型が流行するかは賭けのようなもの。さらに、流行の度合いによって需要の波があり過ぎる。予測不能で、儲からないモノに経営資源をどれだけ投じるかだ」と大手メーカーが消極的な理由を打ち明ける。

添加剤アジュバントが輸入の足かせに

 国内自給できなければ、輸入の選択肢もあるのだが、一部の専門家から輸入ワクチンには根強い反対論がある。海外メーカーの製品には免疫力を高める添加剤「アジュバント」が使われているのが主な理由だ。

 この添加剤を使うと、元のワクチンが少量でも効き目が期待できるため、より大人数分のワクチンを短期間で製造できるのが特徴だ。ただ、一般的に副作用リスクが高いとされている上に、メーカー側が副作用の免責を求めているからだ。

 これに対し、近く日本でワクチンの臨床試験(治験)を開始するスイス大手製薬メーカー、ノバルティスの日本法人、ノバルティスファーマ(東京)の三谷宏幸社長は「アジュバントは通常の季節性インフルエンザのワクチンでも使われており、海外ではアジュバントが使われていないものと比べて副作用のリスクに変わりはない」と反論している。

 海外のメーカーからは、「どうして国産の方が安全と決めつけられるのか。むしろワクチンで、日本は遅れていることを認識すべきだ」との声も上がる。政府が判断に迷っているから、国際共同治験にも参加できない。他国に先を越される。添加物だけでなく、ワクチンそのものにも副作用はある。入り口でシャットアウトするのではなく、副作用を踏まえた上で、一人ひとりが判断すべきだとの立場だ。