夏本番の暑さとなって、電力不足問題を何とかしなければという声が喧しい。しかし、それを文字どおりに取ってしまっては、日本は大変なことになるのではないか。つまり、それらの声はほとんどが、自らの既得権を何としても守り抜きたい人たちのプロパガンダだからである。
原発再開は日本は変われないことの証明
日本は1000年に1度とも言われる東日本大震災と、米スリーマイル島、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故をはるかに上回る世界最大の原発事故を引き起こした。
こうした事態に直面して、私たちが絶対にやり抜かなければならないのは、できるだけ早い復興と同時に大事故の原因となった日本に巣食う問題の根本的解決である。
逆に、日本が決してやってはいけないことがある。この大惨事に直面して何も変わらないでいることだ。
天が与えた厳しい試練を改革に生かせないようでは、日本は一直線に衰退への道を歩むだけである。
地震対策しかり、原発・エネルギー政策の見直ししかり、二度と同じ惨事を繰り返さないために、すべての根本に立ち返った対策が求められている。
しかし、「電力不足だから点検の終わった原発を開始すべし」という意見には、電力不足という人質を取って、根本的な問題解決を先送りしようという意図が見え見えだ。
しかも恐ろしいのは日本を代表する大手新聞のほとんどが、それに手を貸していることである。朝日新聞から産経新聞に至るまで、社説はもちろん、電力会社の幹部の意見を大々的に掲載することなどを通して、原発再開を求める世論形成に躍起になっている。