伊東乾さんは今週まで3回にわたって死刑の正否についてユニークな論考を続けている。その第1回「ラブ&ピースの団塊世代を見下して育った若い頃」は、大臣就任から続けざまに死刑執行を断行、死神と評された鳩山邦夫・元法務大臣の勉強会に参加して、強い違和感を抱くことから始まる。
政策の正当化に使われる勉強会や住民説明会
政府主催のこうした勉強会やシンポジウム、あるいは原子力発電所にまつわるものがその代表例だが、地域住民との懇話会のようなものは、初めから結論ありきで、政策の正当化や証拠固めに使われる場合がほとんどだ。
果たして、伊東乾さんが参加した勉強会もそれに近かった。
6月24日に公開した3回目の「『命をもって購う』日本文化論の嘘八百」では、きちんと日本の歴史を振り返ることもせず、「死刑は日本の文化」だと断定して聞く耳を全く持たない元法務大臣にあきれ返っている。
法律を司る法務大臣が法律の原点を理解せず、ましてやまともな歴史観もない中で日本文化論を自分に都合よく捻じ曲げて、権力をもって振りかざす。
極めて優秀な成績で東京大学法学部を卒業したとされる元法務大臣のこのような有様に、東大の教官の1人として、日本の教育の底浅さを痛感している。
また一方で、団塊世代の政治家の思考回路や行動様式に対して強い危機感を抱いている。その気持ちが集約されたのが「ラブ&ピースの団塊世代」という表現だと言える。
中国や韓国に対する必要もない突然の謝罪外交、尖閣諸島での中国漁船に見せた驚くべき責任逃れと法律の無視、福島第一原子力発電所の事故における右往左往・・・。
元法務大臣だけでなく、日本のリーダーとなった団塊世代の政治家の驚くべき姿をこのところ見せつけられ続けたためか、伊東さんの表現に深く納得してしまう。