漁業者の挑戦を阻もうとするのは誰だ?

2011.06.20(Mon)高成田 享

 実際に、漁業者と話をしていると、民間企業に追い出されるのは困るが、企業と組んで独自のブランド商品などを売ってみたいという漁業者は多いことが分かった。

「順位」という言葉を削った水産庁

 構想会議に提案する前に、私は宮城県と水産庁にこの案を示した。宮城県は、「落としどころ」として同意したが、水産庁は激しく抵抗した。現状でも、漁業者が企業と連携することは可能であり、わざわざ特区にするまでもないというのだ。

 確かに、現状でも、民間企業が漁協の組合員になることで、漁業に参入できないことはない。とはいえ、こうした参入例が少ないのは、漁協の配下に入ることになると、自由なビジネスが難しいとともに、漁獲物を販売する時に、漁協に手数料を支払うなどの義務が生じるからだろう。

 水産庁が抵抗するのは、漁協の組織がいろいろな政治力を使って、圧力をかけているからだろうと、私は想像した。というのも、水産庁の人たちと個人的に話すと、「今のようながんじがらめの漁業法はおかしい」という声を聞くこともあるからだ。

 構想会議で提案文書を出す場合、会議の前々日までというのがルールになっている。そこで、前々日の深夜、文書をメールで送ろうとしたら、水産庁から、こういう案文ではいかが、というメールが入っていた。

 読むと、第1グループと第2グループが明記されていたので、水産庁も折れたのか、納得はしないけれども構想会議に出す文書なら体裁を整えてというご親切なのかと考えながら、水産庁の案文に沿って修正した文書を構想会議事務局と県にも送った。

 翌日、県から「第1グループは第1優先順位なのか」という問い合わせがあった。どうして当たり前のことを聞いてくるのかなと思って、文書を読み直したら、原文にはあった「第1順位」「第2順位」という言葉が抜け落ちている。

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