〈左〉日揮 未来戦略室 室長の五十嵐知之氏(左)とアシスタントマネージャーの永石暁氏(右)。(写真:矢島幸紀)/〈右〉北海道、苫小牧で始まった実証実験の様子。折板屋根の上にある黒いシートがペロブスカイト太陽電池だ。「霧の苫小牧」という呼び名があるほど、苫小牧は曇りの日が多いが、太陽光が弱くても発電できるペロブスカイトの特徴を確認する意味でも苫小牧は実験に適地とのこと
五十嵐 知之/日揮 未来戦略室長
2004年入社。海外にてビジネスマネジメントや事業開発に従事する傍ら、ライフワークとして社内有志と共にアグリビジネス開発に携わる。2015年にロシアで野菜生産・販売事業会社を立ち上げ。4年間経営に携わった後、帰国し、現職で会社変革の起爆剤となるべく経営企画や新規事業開発を担当。
永石 暁/日揮 未来戦略室
アシスタントマネージャー 2010年入社。国内外のプロジェクトにて機械系エンジニアを10年ほど経験した後、自ら新たな事業を生み出したいとの思いから現部署に異動。経営企画では中期経営計画に携わりながら、新規事業開発とCVCファンドとの取り組みでエネルギーを担当。「どこでも発電所」事業ではプロジェクトマネージャーとして事業化にまい進中。
一般的な折板屋根。簡易で安価ということから多くの工場や倉庫で利用されている
工場、倉庫等、大型建造物の屋根材の比率(2021年)。折板屋根を含む金属屋根材が圧倒的に多い(5万65キロ平方メートル)。ちなみにスレートとはセメントを材料とする屋根材のこと。〔出典〕日本金属屋根協会の資料から著者作成
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一般家屋に設置されたシリコン太陽電池パネル。重量や強風に耐えられる頑丈な作りになっていることも総重量を押し上げる
日揮が想定する簡易な設置方法。遮熱シートにペロブスカイト太陽電池を貼り、シートそのものを屋根に留め具で固定する。重いシリコン系太陽電池を頑丈なフレームで固定していた工程と、比較にならないほど簡易になる。〔出典〕日揮のYouTubeチャンネルの情報を基に著者作成
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遮熱シートにペロブスカイト太陽電池を貼ったモデル。下の山型部分は折板屋根
折板金属屋根が有する太陽光発電場所としてのポテンシャルを示すグラフ。毎年、設置される太陽光発電は直近5年で約5000MWほどだが、毎年敷設される金属屋根の全てに太陽光発電設備を乗せた場合、最大5000MWから最小3300MWの発電
※1が可能。つまり、折板屋根だけで毎年設置される太陽光発電設備による発電量、約5000MWを賄える面積を有する。
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左がエネコートテクノロジーズの社名ロゴ。Coatは「塗る」の意味で、ペロブスカイト素材を「塗って」太陽電池を作る点を強調した社名となっている。右は曇りでも室内でも発電可能を意味する「どこでも電源」という同社のトレードマーク
堀内 保/エネコートテクノロジーズ 取締役執行役員 最高技術責任者
製紙メーカーにて材料開発、電機機器メーカーにて材料やデバイス開発に従事。専門は有機合成化学、有機デバイス開発。学術論文(査読付)8報のうち1報は被引用件数1300を超え、特許は国内外120件以上取得実績有。2022年3月 エネコートテクノロジーズ取締役に就任。
緑色の円筒がペロブスカイト太陽電池。円筒にすることで、あらゆる方向からの太陽光を発電につなげられる。〔出典〕KDDI
必ず事業化するという強い気持ちを内外に示すために、日揮では「どこでも発電所」というロゴメッセージを考案し、商標登録出願も済ませた