『プラトニック・セックス』はなぜ170万部も売れたのか?

安田:飯島さんが出てきたときにはまだ、「コギャル」という言葉はそれほど一般的なものではありませんでした。コギャルはもともと「高校生ギャル」という意味で、ディスコなどに遊びにくる女子高生を指していました。当時は十代が夜の街で遊ぶことに対して世間はまだ寛容で、中高生がディスコに行ってお酒を飲む光景も珍しくありませんでした。

 コギャルたちは水商売のファッションを取り入れている夜の街の女の子で、性的な対象として見られる存在でもありました。これも今では大いに炎上しそうな感覚ですが、90年代初頭は、大人たちが十代の少女たちを性の対象として眺めることが、それほど非難されなかったのです。

 ですから、コギャルたちは飯島さんがAVの世界にいることをむしろかっこいいぐらいに感じ、カリスマとして見ました。ただ、コギャルの憧れの対象がその後、安室奈美恵さんや浜崎あゆみさんに移っていくと、格好はセクシーだけれど、性的な印象はかなり排除されていきました。

──飯島さんの自伝『プラトニック・セックス』が170万部も売れたことについて書かれています。なぜこの本はそれほど売れたのだと思いますか?

安田:この本は、女性の読者がとても多かったのが特徴です。最初にこの本が出た時には、人気タレントが赤裸々に過去を語っており露悪的だという受け止め方でしたが、やがて若い女の子たちがとても共感して読みました。

──飯島さんはそれまでAV時代の過去は語らないようにしていたそうですが、この本ではかなり明かしています。

安田:この頃、飯島さんはナベプロ系の事務所に移籍しており、そこの社長がそうしたほうがいいとアドバイスしたようです。それまでは本当にプロフィールからAV時代の情報を消していました。この本ではそこを逆手に取る作戦に出て、結果、若い女の子たちの心を掴んだのです。