エプスタイン文書はプーチンについて1000回以上言及

「王室は監視の目が届かず、金に貪欲な傾向があるため格好のターゲットだ。人身売買された女性たちの多くはモデルになる夢を持ったロシア人だった。バージニア・ジュフリーさんのように(アンドルーに腰を抱かれる)写真という証拠があったケースは稀だ」(ロウニー氏)

2001年3月13日、イギリス・ロンドンにあるギレーヌ・マクスウェル服役囚(右)のタウンハウスで撮影された、アンドルー王子(当時)と17歳だったバージニア・ジェフリーさん(提供:Shutterstock/アフロ)

「多くの女性はトラウマを抱え、あるいは示談金で口を封じられている」という。米司法省が公開した膨大な文書や写真、メールはエプスタインが米英で国家安全保障を脅かしていたのではないかという恐怖心に火をつける。

 エプスタイン文書には「ロシア」という国名が1万回近く、ウラジーミル・プーチン大統領の名前は1000回以上出てくる。「これらの文書はエプスタインがロシア大統領と個人的な会談を持っていたことを示唆している」とロウニー氏は英紙デーリー・メールに寄稿している。

 ロウニー氏が入手した米情報機関の極秘文書には「アンドルーはEU、英国、米国における諜報活動および腐敗工作の『保護膜』として英国王室に近い人物に食い込もうとするロシア情報機関によって仕込まれた」と記されているという。

「アンドルーをフロントとして利用することで世界中での汚職工作に正当性を与えた。アンドルーはこの役割を担うにあたって恐喝や強要をされたわけではなく、金銭的、性的、個人的な報酬のために自ら進んでこれらの計画に参加していた」(米極秘文書の分析)

 未成年の女性を含む性行為という蜘蛛の巣を通じてエプスタインがつかんだ情報はすべてプーチンに流れていた可能性があるとロウニー氏は警告する。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。