立憲の成長に淡い好感を抱いていた層が「溶けた」
繰り返すが、立憲と公明の政治理念や基本姿勢は、維新や国民民主に比べ、はるかに親和性が高い。綱領にある「国家やイデオロギーのために国民を従わせる政治ではなく、人間の尊厳を守り抜く政治」は、国家主義に傾く高市政権への対立軸となっている。
だから筆者は、今回の立憲の新党結党に向けた動き自体を否定はしない。野田氏は立憲の基本理念を損なわないよう配慮しながら、合流に際し党の分裂を起こさなかった。そこは率直に評価したい。
朝日新聞の出口調査によれば、昨年の参院選の比例代表で立憲に投票した人の78%、公明に投票した人の73%が選挙区で中道の候補に投票した。急ごしらえの新党の割には、歩留まりは悪くない。
党への愛着が強い立憲のコア支持層は、トップダウンでいきなり合流を決めた執行部には相当の不満もあったと思うが、リアルでもネット上でもそれぞれに公明党支持者との交流を深め、前向きに選挙戦を戦っていた。
また、内閣を支持しないと答えた人のうち、比例代表で中道に投票したのは38%で、前回(2024年)の立憲(29%)を上回った。高市首相の「お化け人気」で内閣不支持層自体が約半分に縮んだため、得票は減っているが、中道が内閣不支持層の受け皿として一定程度機能したとも言える。
ただ、そのような投票行動が取れたのは、両党のコア支持層や、政権への不支持を強く示す「政治に関心の高い層」に限られたように思う。
選挙になると立憲に投票していたゆるい支持層や無党派層は、立憲の党勢が低迷するなか、高市早苗首相の「奇襲解散」にあわてて「選挙目当ての合従連衡」で新党を作ったと思われたのではないか。
立憲の成長に淡い好感を抱いていた層が「溶けた」ように思う。
記者会見で「立憲民主党」を結党すると表明する民進党の枝野幸男代表代行=2017年10月02日、東京都内のホテル(肩書は当時、写真:共同通信社)
前述した朝日新聞の出口調査によれば、立憲は無党派層の衆院選における比例代表の投票先で、旧立憲が結党された2017以降3回の選挙ですべて1位だったが、今回の中道は13%にとどまり、24年の前回衆院選における立憲の22%から大きく下落。自民(23%)や今回議席を伸ばしたチームみらい(14%)の後塵を拝した。