「中道は壊滅だ」そう騒ぐヒマがあるのなら…

 立憲が「政権の選択肢」として野党の中核となり、「国家主義ではなく国民主義」「成長戦略より再分配」といった党の「目指す社会像」を分かりやすい言葉で明確にした上で、新たに野党に加わった公明党とともに、さらに強力な陣営を構築する。そんなストーリーを作れていたら、有権者の新党を見る目も、少しは違ったのではないか。

 そもそも、政権離脱という重い決断によって党のアイデンティティーを取り戻し、今日の政治状況を作り出したのは、公明党の方だ。それに対し、立憲は自らのアイデンティティーに対する自信がなさすぎた。それが結果として「立憲側に壊滅的な打撃を与える」選挙結果を生んだ。残念でならない。

 野田氏は9日、公明党出身の斉藤鉄夫共同代表とともに辞意を表明した。だが、立憲出身者たちが敗因のすべてを執行部に押しつけるのは違う。野田氏は2年前、党員も参加した正規の代表選で、こうした政権奪取戦略を示した上で勝利しているからだ。

 多少まどろっこしい構成かと思いつつ、本稿を代表選から書き起こした理由は、そこにある。

「野党結集」をうたう野田氏を支持した議員心理の中に「他党に候補を降ろしてもらい、楽をして勝ちたい」という思惑はなかったか。今回の衆院選で、比例代表名簿の上位に公明党出身者が並んだことを批判する心理の中に「比例復活に引っかかって当選できればいい」という甘い認識はなかったか。

 自民党と政権を争う野党第1党の候補なら、せめて前職くらいは、厳しくとも小選挙区で自民党と互角に戦う気概を持つべきではないか。小選挙区で勝ち上がり、新人候補が比例復活を果たせるよう尽くすべきではないのか。

 立憲単独でもその意気で戦ってしかるべきだったのに、今回は選挙区で公明票が乗る前提だったのだから、なおのことだ。

 もし上記のような考えで選挙に臨んできた議員がいるなら、そもそも野党第1党の所属議員に向いていないと言わざるを得ない。

 49まで議席を減らしたなか、中道は現時点で「政権の選択肢」など想像もできないかもしれない。しかし、同党は小さくとも野党第1党だ。遠くない将来に自民党との政権選択選挙を戦えるような組織を育てる責任がある。

 2005年の郵政選挙、09年の民主党への政権交代選挙を見るまでもなく、小選挙区制中心の選挙制度は、2大政党の一方に「風」が吹けば、議席数は党の実力の差以上に大きく開く。惨敗に衝撃を受ける気持ちは分かるが、今後いつ揺り戻しが来るか分からない。

 一度の敗戦に過剰反応して「党は壊滅だ」と騒ぐヒマがあったら、中道は一刻も早く、党の再建(というより新しい党づくり)に臨んでほしい。