「非自民勢力の結集」はファンタジー
今回の衆院選でその最たる事例となったのが、石川1区だ。
2024年衆院選で、立憲は新人の荒井淳志氏、国民民主は新人の小竹凱氏をそれぞれ擁立し、ともに自民党前職に敗れた。次点につけた立憲の荒井氏は小竹氏の倍以上の票を獲得したが、国民の小竹氏が比例復活した一方、荒井氏は届かなかった。
立憲県連は今回の衆院選でも、荒井氏を党本部に公認申請したが、中道の結党に伴い党本部は「国民民主の現職に対して新人を擁立しにくい」と判断し、公認を見送った。
立憲が前回選挙でより多くの得票をした候補を降ろしてまで国民民主に配慮しても、連携の機運は生まれない。選挙戦の直前、国民民主は東京都を中心に、中道から出馬した立憲出身候補に、大量の対立候補を擁立した。
野田執行部が本気で「非自民勢力の結集」を掲げるなら、こうした動きを抑えるべく、日常的に国民民主との連携を密にすべきだろう。だが、そうした具体的な動きは見えず、あったとしても結果が伴わなかった。
「非自民勢力の結集」というファンタジーを信じて、同党に甘い対応を取り続けた立憲の責任は重い。
この結果、立憲は十分な候補者を擁立して「政権奪取の準備が完了した」と呼べる形を作ることができなかった。
今回の衆院選で、中道が擁立した公認候補は236人。全員が当選しても過半数ぎりぎりだ。289の小選挙区で中道が公認候補を擁立したのは202にとどまり、立憲時代の目標から増えていない。
これでは「政権の選択肢」としての本気度は感じ取れない。せっかく公明党と合流したのなら、同党側の協力も得て、候補者を上積みすることはできなかったのか。
執行役員会後に記者会見する中道改革連合の野田共同代表(左)と斉藤共同代表=9日午後、東京・永田町(写真:共同通信社)
今回の衆院選について野田氏が「(政権選択ではなく)政界再編のうねりを作る」と語ったのも気になった。
野田氏は「多党化した中で単独過半数の夢を見るのは現実的ではない」と述べたが、現在の政界の景色はどうだろう。「自民党だけで3分の2」である。
小選挙区制が与党と野党第1党の間で大きな議席の変動を生むことは、野田氏も重々承知ではないのか。
衆院で148議席という、小選挙区制導入以降歴代3位の議席を得ながら、立憲自身が主軸となる政権の構想を描ききれなかったのは、つくづくもったいなかった。