2026年2月8日、ミラノ・コルティナ五輪、フィギュアスケート団体戦で日本が銀メダル、左から坂本花織、佐藤駿、鍵山優真、吉田唄菜、森田真沙也、三浦璃来、木原龍一 写真/スポーツ報知/アフロ
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(松原孝臣:ライター)

優勝を狙った団体戦

 表彰式が始まる。

 赤のウェアに身を包んだ彼ら7人は、お互いの手をつないだまま壇の上に乗るとその手を振り上げた。やがてつないだ手を離し、歓声に応えるように手のひらを振り続けた。

 2月8日、フィギュアスケート団体戦で銀メダルを獲得した日本代表選手たちは、誰もが晴れやかな笑顔だった。

 表彰式だけではない。予選に始まり試合のフィニッシュまで、彼らは笑顔と、そして涙を共有しながら戦い抜いた。

 試合前の大方の予想通り、本命視されていたアメリカを日本が追う展開となり、優勝の行方は最後の最後までもつれた。

 それをもたらしたのは日本の選手たちの相次ぐ好演技だった。スタートとなった予選のアイスダンス・リズムダンスで吉田唄菜&森田真沙也が好演技をみせると、後続が次々に地力を発揮する。

 2位で進んだ決勝でもそれは変わらない。最終種目の男子フリーに至る時点で、ポイントは同点。そこでイリヤ・マリニン(アメリカ)が1位となり、会心の演技を披露した佐藤駿がわずかに及ばず2位。ジャンプ構成の度合いでマリニンが上を行ったというものの、限りなくそこに迫った佐藤は称賛されてしかるべきパフォーマンスであった。

 優勝したアメリカとのポイント差はわずかに「1」。その数字もまた、日本勢の誰もが欠かすことのできない存在であったことを物語っていた。

 ショートプログラム、フリーを通じて圧巻の演技をみせたペアの三浦璃来は言う。

「みんなのバトンをつなげることができて、みんなでつかみとった銀メダルで、うれしいです」

 北京オリンピックに続き、2大会連続の銀メダルだ。ただその内容は異なる。

 当初は3位、そこからロシア(ロシアオリンピック委員会として出場)のドーピング違反により繰り上がりでの銀メダルとなった北京との違いを、北京の銀メダルメンバーである一人、今大会ではショート、フリーを一人で担った坂本花織はこう語っている。

「北京のときは奇跡みたいな感じでしたけど、今回は優勝を狙った団体戦で4年前とは気持ちも全然違います」

 坂本同様、北京のメンバーであった木原龍一もこのように話している。

「北京ではメダルを獲ることが目標でした。今回はチームジャパンで、いちばんいい色を獲るという目標で臨む、初めてのオリンピックで、全員でベストを尽くして勝ちとったメダルです。北京と違ううれしさを、みんなが感じているんじゃないかと思います」