【写真特集】東日本大震災から2か月

岩手県大槌町で、遺体を回収する自衛隊員(2011年5月8日撮影)〔AFPBB News

 2011年3月11日は、日本国民にとって忘れられない日となった。大地震と想定外の大津波。広大な地域で、膨大な被害。我が国にとって有史以来と言ってもいいくらいの大災害である。この大災害は、我々に極めて重要な教訓を残した。

 自然災害を的確に予想し完璧に対処することは難しい。過去の自然災害事例から将来を予測し、いかにそれに備えるか、これは人類永遠のテーマでもある。

 一方、予測しがたいが、あらゆる知恵を絞り真剣に考えなければならないのが、国の安全と独立を守るための備えだ。

 すなわち「国家の防衛」に対する備えは、国の命運を左右する最も重要な課題である。我が国はこれまで、本当にそのような意識で対応してきたのか。否。この大災害の一番の教訓は、我が国の有事に対する備えを万全にすることではないだろうか。

世界の情勢は厳しい

 9年連続で日本の防衛予算が実質的に削減された。20年連続で2桁以上の軍事費を増加させ、核を含む強大な陸海空軍を建設している中国。国民が飢えの中にありながら核開発に手を染め、平気でミサイル、大砲をぶっ放す北朝鮮。経済の衰退から立ち直り強国の復活を目指し、着実にその活動を活発化させているロシア。

 我が国はそのような国が周辺にありながら、いかなる情勢判断と戦略に基づき、防衛予算を削減し自衛隊員を減らすことができるのか。

 一国の独立と安全を守るためには、国民の明確な意思と、それを可能とする実効的な力が不可欠であることは明白だ。そして最終的に独立と安全を担保する「力」の実態が、日米安全保障体制と自衛隊である。

 この世の中がパワーポリティクスの原理で動いていることを認めたくない人もいるが、世界は間違いなくこの「力」のバランスで動いていることを認識すべきである。

 東西冷戦が終結して以降、それまで防衛体制の強化に多大な投資をしてきた欧米各国は、平和の配当を受け取るべく、国防費の削減、軍のダウンサイズを実施した。

 しかしそれでも、NATO(北大西洋条約機構)の集団安全保障体制を堅持しつつ、各国の事情に応じ、現在と将来の国際環境に対応しうる軍事力を整備し運用しているのである。