あらゆる資源を貪欲に囲い込む「ハイブリッド型」の拡大フェーズ

 中国のエネルギー戦略は地球温暖化対策として脱炭素という国際的潮流に対応する一方で、自国のエネルギー安全保障と経済的実利を優先し、利用可能なあらゆる資源を貪欲に囲い込むハイブリッド型の拡大フェーズに入っている。

 金属・鉱業セクターは記録的な年になった24年をさらに上回り、約326億ドルと記録を更新した。カザフスタンを拠点とする鉱物加工(鉱業への投資は約150億ドル)に重点が置かれた。人工知能(AI)用データセンターを支えるため銅への投資が昨年後半に大幅に増加した。

 ワン教授は「中国と一帯一路対象国の双方でグリーントランジションを支える成長促進のための投資が求められている。これは鉱業・鉱物処理、EV・バッテリー製造の技術取引、グリーンエネルギー分野で継続的な投資機会をもたらすだろう」と指摘している。

 米中の大国間競争の行方について、ワン教授は筆者の質問に「残念ながら私は政治についてはコメントできない」とだけ答えた。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。