3人目は誰になる?
三浦は昨シーズン、脚の怪我に苦しみ、今シーズンも本来の演技に届かない試合が続いた。その中で、11月のスケートカナダでは253.69点で3位、表彰台に上がった。
「希望が見える試合でした」
その言葉にも一定の手ごたえがあったことが伝わってくる。
今シーズンのテーマに「サムライ」を掲げる。
「自分のスタイルでスピード、疾走感。戦場を表現するのにぴったりかなと。最後は気持ちで戦いに行きます」
強い気持ちで全日本選手権に臨むだろう。
友野はスケートカナダで251.46点で4位になり、スケートカナダでは245.57点で3位、表彰台に立った。ただ悔いの残る試合であった。ショートプログラムで1位、グランプリシリーズでは4年ぶりにトップに立つ好発進をみせたがフリーは序盤の4回転ジャンプ2本でともに転倒するなどにより8位、結果として3位となり、グランプリ初優勝がかなわなかったからだ。
「こんな悔しさは初めてです」
その思いも胸に、全日本選手権に向かう。
山本草太も忘れるわけにはいかない。
今シーズンは、8月下旬、練習中に腰を痛めヘルニアに。大会に出場しつつ回復を図ったが容易に治らず、チャレンジャーシリーズ・トリアレティ杯は棄権。グランプリシリーズは中国杯9位、フィンランディア杯6位で終えている。
10月の会見で、今シーズンのテーマを「Hallelujah」(ハレルヤ)と語った。フリーの曲名である。
「賛美せよ、栄光あれという意味合いです。スケート人生を表現できるプログラムで、いいことも悪いこともあったけれど、すべてを表現できれば」
やりたくても思うレベルでの練習ができない中で進んだシーズン、葛藤はあるだろう。だがこれまで大きな試練を何度も乗り越えてきて、今がある。自身の競技人生そのものを支えとして、全日本選手権の氷上に立つ。
オリンピックを中心に、国際大会の代表選考がかかる全日本選手権。その切符を手にするために挑む大会は、山本のみならず、競技人生で培った力を武器に、自身を表現しきるための舞台でもある。
『日本のフィギュアスケート史 オリンピックを中心に辿る100年』著者:松原孝臣
出版社:日本ビジネスプレス(SYNCHRONOUS BOOKS)
定価:1650円(税込)
発売日:2026年1月20日
冬季オリンピックが開催されるたびに、日本でも花形競技の一つとして存在感を高めてきたフィギュアスケート。日本人が世界のトップで戦うのが当たり前になっている現在、そこに至るまでには、長い年月にわたる、多くの人々の努力があった——。
日本人がフィギュアスケート競技で初めて出場した1932年レークプラシッド大会から2022年北京大会までを振り返るとともに、選手たちを支えたプロフェッショナルの取材をまとめた電子書籍『日本のフィギュアスケート史 オリンピックを中心に辿る100年』(松原孝臣著/日本ビジネスプレス刊)が2026年1月20日(火)に発売されます。彼らだからこそ知るスケーターのエピソードも満載、フィギュアスケートファンはもちろん、興味を持ち始めた方も楽しめる1冊です。