写真はイメージです(出所:Pixabay)
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(韓光勲:梅花女子大学専任講師、社会学研究者)

「韓国映画は面白い」──。

 この言葉を聞いて違和感を持つ人は、現在の日本では少なくなってきたのではないでしょうか。私が韓国映画について誰かに話した時、むしろ「私の好きな韓国映画は◯◯だ」とか、「いまの日本映画は韓国に負けている」と言われたことが何度かあります。

 私は、今の日本映画は「第三の黄金期」を迎えているという映画評論家の蓮實重彦氏の意見に賛同しており、「日本映画が負けている」とは全く思わないのですが、韓国映画のレベルの高さを熱く語る日本人には何人も出会ったことがあります。それくらい、韓国のエンタメ業界のレベルの高さは日本で広く認知されるに至りました。

 しかし、1992年生まれの私が小さな頃、これは当たり前のことではなかった。両親が韓国籍の在日コリアンという背景から、2000年代初頭から韓国映画を見て育ってきましたが、私が小さな頃は「日本文化の方が上」という意識がまだ根強くあったように感じます。

「韓流ブーム」の歴史

 2000年代初頭から、韓国文化は日本に怒涛のように押し寄せました。いわゆる「韓流ブーム」です。映画『シュリ』の日本劇場公開が2000年、日韓ワールドカップの共催が2002年、『冬のソナタ』がNHK総合で放送されたのが2004年です。その後もK-POPや韓国ドラマのブームがあり、今ではもう「ブーム」とすら呼ばれないほど、「Kカルチャー(韓国文化)」は定着しました。