Pete LinforthによるPixabayからの画像
情報の大陸から知能の大陸へ
前回は、「カスタムGPT」という「新しい言語」が、人間の思考を構造化し、AIに渡すための器になりつつあると述べました。
私たちはHTML(「HyperText Markup Language)で情報を組み立てたように、生成AIの一つ、カスタムGPTで知能そのものを組み立て始めています。
そして、そこから生まれる現象が、知能がネットワーク化していくという、これまでの歴史にはなかった変化です。
今回は、その変化が社会や経営に何をもたらすのか、そしてなぜ今、私たち一人ひとりが「知能を設計する側」に回らなければならないのかを、できるだけ肩の力を抜いた文章で一緒に考えていきたいと思います。
情報のウエブがあった1990年代を思い出してみます。
インターネットは、世界中の情報をつなぐ帯のような存在でした。文書や写真がリンクで結びつき、グーグルが登場した頃には、いよいよ人間の世界が一つの巨大な図書館のようになり始めたのです。
あの頃、私たちはまさか次に「知能」そのものがつながる世界が来るとは思っていなかったはずです。
しかし2020年代になり、AIは単体のツールではなく、複数が連携し、互いの判断を引き継ぎ、結果を補完し合うようになりました。
一つのAIが要約し、次のAIが分析し、別のAIが翻訳し、さらに別のAIが経営判断の下書きを作る――。そこには、明らかに新しい地形のようなものが見えてきます。
情報が並ぶ大陸ではなく、知能が並ぶ大陸です。私はこれを「知能のウエブ」と呼んでいます。