実父・小泉湊は「男らしい好い人」
セツの実父・小泉湊は、天保7年(1836)12月27日に生まれた。セツは、湊が31歳の時の子である。
湊は小柄だが、痩せて引締った体躯の持ち主で、「活躍家で進取的気質のハイカラ」だったという(小泉一雄『父小泉八雲』)。
セツの手記「幼少の頃の思い出」(小泉節子『思ひ出の記』所収)によれば、セツは3歳くらいの時から自分が「もらい子」であることを知っており、実父・湊を「小泉様」と称している。
湊は松江藩の軍隊の小隊長を務めていたが、彼の号令は素晴らしかったらしい。湊の号令で軍隊がピリッと引き締まり、わざわざ号令を聞きにくる人も多かったという。
湊は皆から尊敬されており、セツも「男らしい好い人であった」と、手記で述べている。