米国で人気の高い銀への投資
ほかにも銀買いに動く投資家もおり、こうした銀投機家は「シルバー・ブルズ」と呼ばれた。ブル(Bull)は市場で強気を意味する。
イラン革命によって第2次石油危機が起き、旧ソ連がアフガニスタンに侵攻した時期だ。金価格も1980年初めに800ドルを超し、当時としては史上最高値を付けた。インフレヘッジとして銀を買った一般投資家も多かったろう。地政学リスクとインフレが絡み合う市場環境は現在に通じるものがある。
米国では昔から投資対象として金よりも価格が手頃な銀の人気が高い。銀貨や食器、宝飾品として馴染みが深いこともある。最近では米国で2021年に投稿型オンライン掲示板「レディット」で銀への投資が取り上げられ、一時30ドルを超えたことがあった。
レデイットの書き込みを見て、コモディティー関係者の多くは「商品市場を知らない素人だな」と思ったはずだ。株式や金融市場の延長線上で商品投資に走れば、思わぬ怪我をすることが少なくない。
先物やETFは商品市場の一部であり、根底には現物市場が横たわる。先物取引でも現物の受け渡しに絡んで追い詰められる参加者は後を絶たない。
ウクライナ危機の2022年にはロンドン金属取引所(LME)でニッケルの売りポジションを抱えた中国の業者が買い戻しを迫られたことで相場が高騰。LMEはニッケル取引の停止と当日の約定を取り消す前代未聞の措置を強いられた。
45年前のハント兄弟も罠にはまった。