15%の相互関税で合意、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長と握手するトランプ大統領(7月27日英スコットランドで、写真:ロイター/アフロ)

どたばた関税ゲームも結果オーライ

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 1970年代から80年代の日米経済摩擦の時でさえこんなことはなかった。

 日米間で合意したにもかかわらず、15%相互関税の負担軽減措置がその後も大統領令から抜け落ちたまま。

(米閣僚は8月9日、訪米中の赤沢亮正・経済再生相に手続き上の不備を認め、対日相互関税に関する大統領令を修正すると表明した)

 交渉を3人の閣僚に任せっきりにしてきたドナルド・トランプ大統領の交渉スタイルの杜撰さが露呈した。

 これをトランプ氏の「気まぐれディール」と言うべきか。あるいは「戦略なき戦略」と呼ぶべきか。

 いずれにせよ、相手国・日本はこのどたばた関税ゲームに振り回されっぱなしだ。

 当のトランプ氏はどう思っているのか。

 トランプ氏の胸の内(本心)を言い当てていると評判の総合メディア「ブライトバート・ニューズ・ネットワーク」が、8月8日付サイトに「Donald Trump’s Six Biggest Wins at 200 days in Office」と題する論考を掲載した。

Donald Trump’s Six Biggest Wins at 200 Days in Office

 同ネットワークは2005年に設立された極右メディアで、ニュース、論説、オピニオンをウエブサイト、ポッドキャストなどで流している。

 報道姿勢は、反外国人、人種差別主義、陰謀論。

 バラク・オバマ第44代大統領はケニア生まれだという「Birtherism」(オバマ元大統領の出生を疑う主張)を提唱、トランプ氏に教え込んだのは同ネットワークだった。

 フェイスブック経由で繰り返し流れ、テーマによっては8億件を超える引用がある。

HHRG-118-IF16-20230328-SD034.pdf (house.gov)