チームみらいの安野党首(中央)と高山幹事長(左)ら(写真:共同通信社)
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(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

チームみらいの社会保険料引き下げ案、その中身は?

 先日、参議院議員選挙で安野貴博党首が議席を獲得したチームみらいの幹事長・高山さとし氏とネット番組「ReHacQ」で対談する機会があった。

【ReHacQ生配信】チームみらい幹事長とまったり雑談【チームみらい高山さとしvs西田亮介】@YouTubeより

 思いもかけず、全編にわたって論戦的な雰囲気が漂っている。

 しかも、チームみらいの看板的なAIやICTに関する内容ではなく、社会保険料と政治とカネのあり方について盛り上がりを見せているという点も特筆すべきかもしれない。

 その後、高山氏が動画を公開したので、筆者も再度本欄を通じて応答してみることにしたい。

【高山さとし】ReHacQ大反省会【振り返り】@YouTubeより

 そもそも冒頭動画における社会保険料に関する議論の骨子はこうだ(元気があれば、別途、政治とカネについてもまとめてみたい)。

 チームみらいは「参議院選マニフェスト(要約版)」において、「現役世代の社会保険料負担を軽減」という政策を掲げている(「主要政策3」)。

 そこには「現役世代の負担が過度に増大しないよう政策目標を設定。まず5兆円単位で負担を引き下げ、制度改革や経済成長による税収増でカバーする」と書かれている(なお、「詳細版マニフェスト」はエンジニアがしばしば用いるgithubに置かれている。github自体も一般の有権者にとって馴染み深いとは思えないが、選挙運動期間においてすら、それぞれの有権者が閲覧した時点で主張が変わっていく可能性がある。そのため、有権者は政策的主張を契約とみなした選択を行いにくい。筆者はその事自体を批判してきた)。

 冒頭の番組での筆者の問いの骨子は、「社会保険料の引き下げというが、社会保険料は多岐にわたる。具体的にはどの保険料について、どのような引き下げを行うことで実現できるのか」というものであった。

 言うまでもないことだが、5兆円という金額は消費税収でいえば2%程度の規模に相当し、決して小さな金額ではない。

 最初の機会における高山氏の回答はいずれも判然としないままであった。

 むろんそのこと自体はそれほど大したことではない。不慣れな場で即答できなかったり、議論の細部を失念したりすることはよくあることだからだ。

 人間は機械でもAIでもない。

「大反省会」と題されていることから、議論を受けて高山氏は動画を公開したものと思われる。

 そこで、高山氏の応答を検討するにあたってまず2つ確認したい。