AI活用フリーランスにも人間力が必要と語るPE-BANKの髙田幹也社長(筆者撮影)
(前編「年収1億円も夢ではない、生成AI活用に長けたフリーランスの時代が到来した」から読む)
AIを活用できない企業は廃れる
木寺: 需要側の変化についてうかがいます。
AIを使うクライアント企業と、そうでない企業で、フリーランス活用に差は出てきていますか?
髙田社長(以下髙田): 確実に差は出てくるでしょう。
それどころか、今後AIを活用していない企業にはフリーランスが行きたがらなくなると思います。
AIを使わない手作業は、フリーランスにとっては面倒だからです。
結果として、AIを活用する企業とそうでない企業の間で、フリーランス活用の差はさらに開いていくでしょう。
木寺: 働き方の構造変化についてのビジョンをうかがいます。
10年後、フリーランスは「個人」ではなく「チーム単位」で動く時代になると思いますか?
髙田: 私は、個人単位が主流のままだと考えています。
もちろん、プロジェクト単位でフリーランスが集まってユニットを組むといった動きは、今も普通にありますし、今後も増えるでしょう。
特に米国の企業は、世界中の人材をプロジェクトごとに集めて構成することが当たり前です。
AIが介在することで、よりシームレスにフリーランスが参加できるようになるはずです。
ただし、日本企業がハリウッド式のような、プロフェッショナルなフリーランス集団がすごいものを作り上げるという形になるには、企業の思想が変わらないと難しいでしょう。
特に、「誰が責任を取るのか」という文化が日本には根強く、契約社会の米国とは異なります。
日本ではITが芸術だと認識されておらず、最終的な責任の所在が曖昧になりがちです。
これが、日本におけるIT業界の失われた30年の一因ではないかとすら感じています。
木寺: 人間的価値、信頼、関係性などの視点からうかがいます。
AI時代の「選ばれるフリーランス」に必要な武器は「技術」だけでしょうか?
髙田: いえ、技術だけではありません。
AI時代のフリーランスに必要な武器は、想像力と対人コミュニケーション能力だと考えています。
これまで以上に、この2つの能力が求められるでしょう。関西でいう「可愛げ」も重要です(笑)。
同じ技術力を持つなら、やはり人として魅力があり、コミュニケーション能力が高い人が選ばれます。
AIと会話する上でもコミュニケーション能力は必要ですし、対人関係においても同様です。