2025年7月6日、日本選手権、男子5000m決勝で優勝した井川龍人 写真/森田直樹/アフロスポーツ
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(スポーツライター:酒井 政人)

男子5000mに出場した18人の大学生ランナーは?

 今年は86人がエントリーした日本陸上競技選手権の男子5000m。決勝に進出できるのは18人(各組6着)という“狭き門”を目指して、予選(全3組)から激戦が繰り広げられた。18人が出場した大学生ランナーは、どんな戦いを見せたのか。

 予選1組は羽生拓矢(トヨタ紡織)が引っ張り、3000mを8分19秒で通過した。4000m手前から塩尻和也(富士通)がペースアップすると集団が削られていく。そのなかでうまく対応したのが岡田開成(中大2)だ。

「前半シーズンは結果が出ていなかったこともあり、絶対に予選を通過しようという気持ちでした。塩尻さんについたら最後はたれると思ったので、そうならないように意識して走りました」と岡田。直前まで高地合宿を行った成果も出たようで、荻久保寛也(ひらまつ病院)に次ぐ2着(13分39秒91)を確保して悠々と予選を通過した。

 他の大学生は山口竣平(早大2)が12着(13分55秒68)、宇田川瞬矢(青学大4)が15着(13分57秒83)。佐藤大介(中大2)、吉居駿恭(中大4)、斎藤将也(城西大4)、本間颯(中大4)は14分オーバーの苦しいレースになった。

 2組は序盤で石原翔太郎(SGH)が飛び出す展開になったが、3000m(8分32秒)を通過した後、後続集団に飲み込まれる。結局、ラスト勝負となり、塩澤稀夕(富士通)が13分53秒82でトップ通過した。学生勢は飯田翔大(青学大2)のみで15着(14分11秒84)だった。

 10人の大学生が出場した3組は鈴木琉胤(早大1)が引っ張った。1000mを2分44秒、2000mを5分32秒、3000mを8分21秒で通過。ここから小池莉希(創価大3)が揺さぶりをかけて先頭集団は7人に。ラスト勝負を制した森凪也(Honda)が13分38秒34で1着通過した。学生勢は鈴木が13分39秒71で4着、小池が13分40秒21で6着に入り、ともに決勝進出を決めた。

「小池さんが出そうになかったので、自分でいく展開かと思って引きました。でもラスト1000mで脚が動かなくなり、まずいと思ったんですけど、最後は気持ちで走りました」と鈴木がレースを振り返ると、小池は「どこかで出ようと思っていましたし、最後は余力もありました。やりたいことをやったうえで決勝に残れたのは価値が高いです。楽しく走れました」と声を弾ませた。

 花岡寿哉(東海大4)は小池に届かず、13分40秒30の7着。4000m付近で一度はトップに立った黒田朝日(青学大4)は13分42秒97の8着に終わった。他の学生勢は濵口大和(中大1)が13分52秒59で13着、池間凛斗(順大2)が13分57秒41で15着。藤田大智(中大3)、溜池一太(中大4)、大濱逞真(大東大2)、折田壮太(青学大2)は14分オーバーだった。