IAEAが原発事故調査団を派遣、24日から

福島第一原子力発電所の1号機(左)と2号機〔AFPBB News〕

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 みんなそういうシナリオでやってきた。台本から外れた番狂わせは、何よりまず大地震であり、それによって引き起こされてしまった「原発は危険」という現実の暴露、安全神話の崩壊でした・・・。

 いや、崩壊させてはいけない、この「神話」が、まるで生きているかのごとく振る舞おう、というシナリオが見え見えであるのが、「雁首を揃えて野菜をほおばってみせる」パフォーマンスを何とも醜悪なものに見せました。

 それが極まって聞こえたのが菅直人首相の総括の場での楽屋落ちそのもののコメント、「安全性を最も効果的にアピールすることができた」という自画自賛的な発言です。

 これとて結局のところ、自賛という以前に「まさか日本はエネルギー政策転向なんかしねえんだろうな?」とにらみを利かせる外からの視線に、露骨に通じるよう報告しているようなもので、自賛ほどの主体的なスタビリティーがあるとは率直に思われません。

真の観客はどこにいる?

 日韓中首脳がアピールしたのが、福島の野菜や果物の安全性であれば、誠に結構なことです。しかし、4000年来洗練された商人の知恵を持つ中国が、日本ローカルな安全性をアピールしたって一銭の得にもなりません。

 得にならないことを中国政府は決してしません。彼らがアピールしたかったのは、福島第一原発という「失敗事例」で本当は否定されてしまった沸騰水炉など、原始的で初期型の原発施設というものの「安全神話」にほかなりません。

 まるでゾンビのように生き返らせようとしていることだと、正確に知るべきでしょう。

 私たち日本人の観点で、中国の温家宝首相たちが生ものを食べてみせるパフォーマンスを見るべきではありません。本当の「観客」はここ、つまり日本にはいないのです。

 と言うより、日本国内の、例えば被災地のどこかで、あるいは関西で、誰かが中国や韓国の要人が福島の野菜を食べているシーンを見たとして、それにどれほどのインパクトがあるでしょうか?

 若者に人気のある芸能人などが食べた方が、国内限定の影響力ならはるかに大きいものが期待できると思います。