新築ばかりでなく中古マンションの価格高騰も止まらない(写真はイメージ、Waldemarus/Shutterstock.com)
マンション価格の高騰が続いているが、新築だけではなく中古マンションの価格も上昇し続けている。2025年4月には、ついに東京都港区の中古マンション価格(70m2換算)が2億0969万円と、2億円の大台に乗せた。果たしてまだまだ上がり続けるのだろうか、住宅ジャーナリストの山下和之氏がレポートする。
都心部のマンション価格はまだまだ上がる?
各種マンション情報のポータルサイト「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドでは、中古マンションの70m2換算価格について、全国市区町村別のランキングを作成し、公表している。
そのベスト10エリアの価格と前年同月比を示したのが【グラフ1】だ。2025年4月の70m2価格の全国トップは東京都港区で、2億0969万円と、初めて2億円の大台に乗せた。
以下、千代田区、中央区、渋谷区までが1億円台で、5位の新宿区は9740万円と1億円が目前に迫っている。

しかも前年同月比をみると港区は76.76%アップと、1年間で8割近くも上がっている。2位以下で1億円台の3区も、前年同月比30~40%台のアップと、大幅な上昇だ。
都心部では新築マンションの開発余地が少なくなり、新規の物件が減少。希少性が高まり、簡単には買えなくなっている。そうした状況下で富裕層の関心が都心部の中古マンションに向かい、結果、価格上昇率をみると新築マンション以上に上がっているというわけだ。
しかも、新築マンションはデベロッパーが価格決めを行うため、ある程度の範囲に落ち着くが、中古マンションは売り主や買い主の直接交渉、相対で価格が決まるため、上昇率が新築以上に高くなる面もある。
いずれにせよ、この中古マンション価格の高騰はこれから先も続くのだろうか。あるいは、そろそろ頭打ちになって横ばいから下落に転じる可能性はあるのか。同調査に当たったワンノブアカインド代表取締役CEOの川島直也氏に見通しを聞いてみた。
「2020年から2021年にかけては、オリンピックが終われば下落するだろうと言われましたが、実際には下がりませんでした。マンション価格の予測は、なかなか難しい問題ですが、おそらく港区を中心とする都心部はまだ上がるのではないでしょうか。これまでのような高い上昇率ではなくなり、上がり方は緩むでしょうが、少なくとも2025年いっぱいは下がることはないでしょう」(川島氏)
それにしても、70m2価格が2億円を超えるような中古マンションを買える人がそんなにいるのかという疑問も出てくるが、港区のような超高額物件を購入する人たちは、海外や国内の超富裕層であり、マンションを単なる居住用としてだけではなく、資産として捉え、ポートフォリオの一部として購入している。
港区、中央区、千代田区の都心3区に渋谷区を加えた4区については、内外から投資マネーが入っているので、当面値下がりの心配はないという。
