動物たちを乗せたノアの方舟(写真:Roger-Viollet/アフロ)
世界一のベストセラーといわれる「聖書」。フォロワー約11万人の「上馬キリスト教会ツイッター部」の中の人として聖書をわかりやすく紹介するMAROさんは、聖書が誕生した2000年前から人間の心や営み、本質は現代社会とほとんど変わらないと言う。
現代社会にいるあらゆる「残念な人」は、2000年前に記された聖書にもだいたい登場している。偉人と思われている人の「残念な一面」とは。
*この記事は、『聖書の中の残念な人たち』(笠間書院)の内容を一部抜粋・編集しました。
聖書のことはあんまり知らないという方でも「ノアの方舟」のエピソードは聞いたことがあるのではないでしょうか。このエピソードの主人公であるノアという人は、基本的には立派な人だったのですが、実は致命的に残念な部分もあったということが、はっきりと聖書にも記されています。
アダムとエバは子孫を繁栄させ、世界にはたくさんの人間が暮らすようになりましたが、その人間たちはあまりに罪深く生きていました。悪いことばっかりやっていたんです。そこで神様は「人間ってどうしてこんなに悪いことばっかりするの!? もうこうなったら一度洪水で全滅させてリセットしちゃおう」と決めました。
しかし、そんな悪人ばかりの人間の中で、ノアという人だけは神様の言いつけをきちんと守り、正しく生きていました。「ノアまで洪水で流しちゃうのはかわいそうだな。この子だけは助けなきゃ」と思った神様はノアに言いました。
「えー、ノア君ノア君、私はこれから洪水を起こして人間を滅ぼすことにしたんだけれども、君はいい子だから君のことは助けたいと思う。と、いうわけで方舟を造って君と君の家族と、それとあらゆる動物の夫婦を一組ずつ乗せるようにして。はい、これその方舟の設計図ね」
ノアはそれを聞いて驚きはしましたが、真面目にその方舟を神様の設計図どおりに造りました。
周りの人たちはそれを見て「あいつは何をやってるんだ。あんなバカなことをして」と笑いましたが、ノアはそんなの気にしませんでした。正しいことであっても、人に笑われたり否定されたりするとやめてしまう人は、今も昔も珍しくありません。その点、ノアは立派でした。
