40歳で周囲からの「見られ方」は一変する

 60〜70代の俳優が現役刑事を演じるテレビドラマや映画などは、実年齢と役柄の間に大きなギャップがある典型だなと思います。こうしたメディア表現も、自分の年齢認識にズレを生む一因でしょう。結果として幼さが許容される社会になり、自分も若いつもりでいることを相手も認めてくれるだろうという甘い期待を無意識のうちに持ってしまうのです。

 このギャップに気づかず転職活動を続けるとどうなるか。

 いわゆる「ドリームクラッシュ」と呼ばれる現象が起きます。活動を始めた初期は前職と同じような待遇や役職を求めて動くのですが、10社落ちる、50社落ちる、100社落ちるという体験が積み重なっていくプロセスです。

 いきなりそこまで落ちるわけではありません。待遇や役職が前職よりも少し下がったところで採用が決まりかけることもあります。でも、そこで納得して手を打たずに、どんどん条件が切り下がっていく。最後はアルバイトの道しかなくなってしまうことすら現実にあります。

 前職で年収1000万円以上・部長職にあった人が時給1000円のガードマンに転じたケースを実際に知っています。プライドがズタズタになってしまいます。

 キャリアの折り返し地点である40代前半ですが、40歳を越えると半ば強制的に、問答無用に、周囲からの見られ方が変化することに気づいておく必要があります。

 20代前半から30代いっぱいまでは、若手と見なされます。「一人前」から「リーダー」クラスになり、現場の第一線のプレーヤーとして、最も脂が乗った時期です。そして30代後半くらいからマネジャーや管理職に昇格する人が増えていく。しかし、まだ若手のマネジャー、若手の管理職という捉え方をされることが少なくありません。

 ところが、40歳を越えてくると、もう現場第一線、若手とは言われなくなるのです。周囲の期待としては一段重みが上がってくる。転職マーケットでも、一プレーヤーとしてではなく、管理職として仕事がどれだけできるのか、組織を動かして結果を出していける人なのかどうかが問われ始める。それが、40代に対する評価軸です。

 自分のキャリアをどう設計していくかを考える時には、20代、30代のキャリアと、40代、50代、長く働きたい人は60代まで含めて、人生の前半と後半の分かれ目を意識しておくほうがいいでしょう。この違いを認識し、前提にして、キャリアをどう作っていくのかを考える必要があるのです。