ミドル世代の転職で注意したい「見られ方」(写真:ponta/イメージマート)

 少子高齢化が進む日本では15〜64歳の労働力人口の減少が続き、さまざまな分野で人手不足が指摘されている。ただ、誰もが引っ張りだこかというと、そうではない。若いうちは比較的スムーズに会社を替われても、35歳以上となると話が違ってくる。転職したい人の数が変わらなくても、年齢が高くなるほどに求人は減り、転職の成功率は下がっていくのが実態だ。

 ミドル世代専門転職コンサルタントで、今年4月に『いつでも会社を辞められる自分になる』(サンマーク出版)を出版した黒田真行氏は、ミドル世代の転職活動で注意することの一つに、周囲からの見られ方を挙げ、「若いつもりだと転職市場で苦戦する」と指摘する。

「若いつもり」が通用しない転職市場の現実

 人生100年時代と言われる昨今、平均寿命が延びるとともに「年齢のわりに若い」と自負する人が増えています。「40歳だけど気持ちは30歳」「40代だけど見た目は30代前半に見られる」などというように、昔と比べて「心身ギャップ」、つまり心と体の年齢のギャップが広がっている人が増えています。

 もちろん自分が若いと思っていることは悪いことではありません。むしろ「若々しさ」は活力の源泉となります。しかし問題は、自己認識と他者からの評価の間に生じるギャップです。

 転職市場では、この「若いつもり」が思わぬ落とし穴になります。

「フットワークが軽いです」「好奇心旺盛です」「マラソンをやっています」

 こうした発言で自分のキャラクターをアピールしようとする人は多いものです。縁故(リファラル)採用ならばポジティブに働くでしょう。

 しかし、一般的に考えると、これらは効果がありません。

 40歳の人が自分では30歳ぐらいの「気持ち」があっても、初対面の採用担当者には伝わらないし、評価の加点にもなりません。転職市場でバックボーンを知らない第三者の目には、単なる「40歳」とだけしか見られません。

 知り合いなら「彼は40歳だけどテニスもやってるし頭も柔軟だから20代のようなやつ」と理解してもらえるでしょう。「お前、全然変わらないよな」と言ってくれるのは同級生だけです。それも同じように年を取っている人の「目の錯覚」にすぎません。

 むしろ本人が気づかないうちに「若さ頼み」のアピールになってしまい、肝心の「仕事ができる理由」が伝わらなくなる危険性すらあります。