4.北朝鮮新型艦の能力の検証

 北朝鮮新型艦が保有する兵器、特に巡航ミサイル、電子妨害兵器、艦上自動機関砲について検証する。

(1)超音速巡航ミサイルと戦略巡航ミサイルの発射実験

 北朝鮮は、2種類の巡航ミサイルの実験を行った。成功したとは発表していない。

 戦略巡航ミサイル(通常のタイプ)の過去の実験については、映像などから成功していると考えられる。

 超音速巡航ミサイルの実験については、判断する映像がないために、成否は不明である。

 ウクライナ戦争でロシアが通常型の巡航ミサイルをウクライナに大量に発射している。

 それらの飛翔速度は、マッハ0.6~0.8だ。音速を超えるものはない。

 ロシアが、超音速巡航ミサイルをウクライナに使用していないということは、そのミサイルを北朝鮮が開発に成功しているとは考えられないということだ。

(2)電子妨害兵器の実験

 北朝鮮はこれまで電子戦兵器の開発について、ほとんど実施してこなかった。それにもかかわらず突然、艦に搭載した電子戦兵器が出現した。

 ロシアからその兵器を導入したのかもしれないが、電子戦兵器を導入しただけでは、効果的に使用できるとは考えられない。

(3)艦上自動機関砲

 新型艦には、ロシア製の「AK-630」ガトリング砲が搭載されている。

 この砲は、1960年代に開発された旧式のもので、射撃指揮装置がこの砲とは別の位置に設置されている。

 現代のCIWS(Close-in weapon system、対艦ミサイルに対する最終防空兵器)は、射撃指揮装置(射撃レーダーと射撃管制レーダー)が一体型になっている。

 攻撃してくるミサイルを近距離で撃墜するためには、砲と射撃指揮装置が一体型でないと命中精度が悪くなる。

 ロシアから旧式のお下がり兵器を供与されて取り付けたのだろう。