
米アマゾン・ドット・コムは2025年2月11日、イタリアに同社初の実店舗をオープンしたと発表した。いわゆる「パラファーマシー(Parapharmacy)」と呼ばれる業態の店舗で、主に美容・パーソナルケア用品や市販薬を扱う。同社はコスト削減策の一環としてこれまで様々な実店舗を閉鎖してきたが、現在は投資モードに入っている。今回の新規出店を機に、欧州全域で美容関連品のオンライン販売も拡大する狙いだ。
オンラインでの成功を実店舗の売り上げ増に
イタリアで新しくオープンしたのは「Amazon Parafarmacia & Beauty」という店舗。場所はミラノ市中心部で、「厳選された美容・ヘルスケア用品、革新的な店内サービス、専門家によるアドバイスを提供する」としている。
取り扱うブランドは「Eucerin(ユーセリン)」「La Roche-Posay(ラロッシュポゼ)」「Vichy(ヴィシー)」「Avène(アベンヌ)」「Rilastil(リラスティル)」「CeraVe(セラヴィ)」など。顧客が無料のデジタル肌分析を受けられる体験エリアを設けており、美容の専門家が分析結果を基に商品を推奨する。市販薬の販売も行うほか、薬剤師が常駐するカウンターもあり、顧客は専門的なアドバイスを受けられるという。
加えて、アマゾンは欧州全域を対象にこれらの品ぞろえを拡充する。2025年内にドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国のオンラインストアで美容・パーソナルケア用品の売り上げ拡大を図る。
米経済ニュース局のCNBC によれば、アマゾンがEC(電子商取引)サイトで健康・美容用品の販売を始めたのは2000年だった。当初は、ほとんどが量販品だったが、その後、「Estée Lauder(エスティローダー) 」や「La Mer(ラ・メール)」などの高級ブランドも扱うようになった。
アマゾンは初のパラファーマシーを出店することで、美容・パーソナルケア分野のオンラインでの成功を、実店舗の業績向上につなげたい考えだ。ヘアスプレーや化粧品からデオドラントや綿棒まで、様々な美容・パーソナルケア用品は、アマゾンのECサイトで最も急速に成長している分野の1つだという。一方、今回の新しい業態は、同社にとって実店舗の実験でもあるようだ。