韓国人男性たちのリアル
この映画は女性の主人公を設定していますが、実は男性たちがキーパーソンになっています。彼らは韓国社会の厳しい現実を象徴しています。
一人は、ケナの彼氏であるジミョン(キム・ウギョム)。ジミョンは記者になることを目指し、就職活動をしているという設定です。ジミョンは礼儀正しく、偉そうなところがなく、定めた目標に向かって頑張っている。責任感があり、ケナにとっても優しい彼氏でした。
でも、ジミョンはケナのニュージーランド行きに強く反対しました。「韓国も悪くない国だよ。一人当たりのGDPは世界の20位以内だ」とケナに説教しますが、ケナは聞く耳を持ちません。
ケナとジミョンは大学1年生の頃から付き合い、兵役期間を待ち、会社員になってからも付き合い続けていましたが、ニュージーランドに行くため別れることにします。卒業を引き延ばし就職浪人をしているジミョンとは心理的な距離が離れていったのも事実です。ケナはジミョンを韓国に置いて、ニュージーランド行きを決断しました。
ジミョンはその後、記者となりました。ケナが一度韓国に帰ってきたとき、二人は再会しますが、ジミョンは記者の激務に耐えていることが分かります。夜遅くに帰ってきて、朝は5時に起きて会社に向かう。冷蔵庫の中は空っぽ。まさに記者を絵に描いたような生活ですね。
もう一人は、留学先で出会ったジェイン(チュ・ジョンヒョク)。ケナよりは1歳年下ですが、人懐っこい性格でため口を使ってきます。一見すると馬鹿っぽく見える(ケナ自身がそう思っている)のですが、実は人知れず苦労していて、孤独感も抱えている。当初はケナと同じように会計士になろうと大学院に通っていましたが、勉強が肌に合わず、別の仕事を目指すようになります。
ジェインを演じた俳優のチュ・ジョンヒョク自身がニュージーランドに6年間留学した経験があり、当時の生活経験を演技に生かしたといいます。単純ではない役柄を非常に繊細に演じられていて、チュ・ジョンヒョクの高い実力を感じました。ケナとジェインが心を通わせるシーンは感動的な場面となっています。