個性が埋没しかねない
「こっちでは、僕のホームランなんてファンは期待していないですよ」
筆者が2007年にヤンキースタジアムで直接、松井氏から取材で聞いた言葉だ。
松井氏がこだわった連続試合出場も、可視化されたデータのもとでは、けがのリスクを高めるだけのマイナス要因ととらえられたかもしれない。
イチロー氏は「怖いのは、日本は何年か遅れでそれ(可視化されたデータ野球)を追っていく」と警笛を鳴らす。
個性的なスイングや投球フォームも単一化を余儀なくされていけば、それぞれの選手たちが感性を磨いて創り上げ、野球少年たちがおもしろおかしくマネをした個性的なフォームが埋没していく恐れもある。
実際、イチロー氏が番組内で母校・愛工大名電高を訪れると、最新の計測マシンなどが備わっていた。
メジャーはいま、可視化されたデータ野球だけではなく、もう一つの軸によってより単調な野球へと舵が切られている。
それが「試合時間の短縮」を念頭に置いたルール改正だ。