有権者と握手する選挙期間中の斎藤元彦・兵庫県知事(11月16日、写真:アフロ)

 12月16日、畏友・郷原信郎弁護士と神戸学院大学の上脇博之教授による「斎藤元彦」選対への刑事告発が神戸地方検察庁と兵庫県警に受理されたとの報道がありました。

 容疑事実は「斎藤元彦『現知事』」(当時は失職中)が「選挙における広報全般」を兵庫県内のPR会社「メルチュ」に依頼、SNS投稿サイトなどへの書き込みを行わせ、ネット上での選挙運動に報酬を支払ったというもの。

 公職選挙法の禁止する「買収」に相当します。

 PR会社社長の個人インスタグラムには堂々と選挙活動を依頼された由が明記されています。

 というより、この点が問題視されてからもそのページがそのまま残っており、これは捜査当局から「証拠保全」として温存を命じられているのだろう、とは作家・菅野完氏の弁でした。

 郷原さんの動画によれば、斎藤知事の代理人弁護士の「記者会見」は救いようのないダメさ加減で、ほとんど「犯人が自白しているようなもの」とのこと。

 例えば、選挙期間中でなければ「選挙運動」と見なされない、などと思い込んだ、おそらく知事自身とごく側近のティーチインを、そのまま弁護士は喋らされているようなのです。

 そんな詭弁が通るほど、公職選挙の法規はザルではなく、すでに高裁や最高裁の判例などで幅広の有罪が認定されることが、関連の法廷実務に通じた弁護士なら常識とのこと。

 弁護士といっても、専門から外れる範囲の判例詳細などは知らないのが当たり前です。

 元山口組顧問・山之内幸夫元弁護士の動画での見立ては、爾後の展開とは大きく異なるように思われます。

 私は「悲しきヒットマン」の著者、山之内さんのファンでもありますが、判検事任官の経験がなければ、弁護士といってもおよそ見立てが立ちません。

 ましていわんや、「斎藤元彦知事」の法の条文読解能力は、通常の本学(東京大学)法学部卒の水準に達しているとは思われません。

 まあそれは無理もないことで、彼は東京大学出身といっても法学部ではなく経済学部です。

 しかも実家が阪神淡路大震災という天災に見舞われた不幸があったからかもしれませんが、留年の末に最低空飛行で大学は通過しただけ。

 ロースクールの学生程度の法学の基礎も怪しく、まして判例によって解釈が大きく左右される司法実務など、完全にちんぷんかんぷんと察せられます。

「斎藤知事」に「公選法違反の認識がない」というのは、半分は彼の能力では「公選法違反を認識できない」から、堂々と違法選挙の詳細を開陳してしまうのでしょう。

 そうでなければ、あそこまで自爆的な陳述を本人も、さらには代理人弁護士すらも、繰り返すとは思われません。

 県職員が何人も自殺しているというのに、トップとして道義的責任を認識する、感受性にも欠けている。

 一言でいえば、首長の器ではない。

「小役人型」の「壊れたラジオ答弁」を繰り返して平気なのは、受験に特化した勉強法で、誤った成功体験を学習してしまった典型的「パブロフの犬」失敗東大OBのパターンかと観察されます。