5.準備に勤しむ中国、脅威に無関心な日本
中国国防省呉謙報道官は、中国軍機による初の日本領空侵犯について、「深読みしないことを望む」と強調した。
また、中国外務省毛寧報道官は中国軍測量艦のトカラ海峡の通過について、「意図的に関連づけたり、過度に解釈したりする必要はない」と主張した。
情報収集機や測量艦は、わざわざ東シナ海の日中中間線を超えて日本の領海・領空に接近し、侵犯してでも作戦に必要な情報を集めているのだ。
中国国防省や外務省によるこれらの発言には裏がある。
「我々(中国)は、は戦争の準備を着々と進めるが、日本には、このことを悟られないようにしたい」と考えているのだ。
そのため、報道官の2人は、「深読みするな」「過度に解釈する必要はない」と念を押しているのだ。
中国報道官の発言は、日本のメディアでそのまま紹介される。
中国は、日本のメディアが、日本のニュースでどのように流すのかを意識している。
これらの発言がそのまま、日本のお茶の間に流されれば、軍事に詳しくない日本の市民は、額面通りに受け取ってしまうだろう。
これは、日本人の中国敵対意識を薄める中国の情報戦なのである。
一方で戦う準備を行い、他方で相手国市民の感覚を麻痺させようとしている。
戦争を始め侵攻する側の国は、戦争の準備を着々と進め、防衛する側の国は、敵国の動きの真意を探ろうともしない。また、その軍の行動を止めようともしない。
このような実態は、かなり恐ろしいことだ。