米国の金融破綻に端を発した世界経済危機は、日本の輸出産業の花形である自動車・電機業界を直撃し、多大な在庫を抱える事態に追い込みました。

 自動車業界ではメーカー間で温度差があるものの、この1~3月は前年比で生産量を半減するといった徹底的な在庫調整を実施しました。その結果、3月いっぱいで一応の在庫調整ができたと報じられています。

ただし、減産時の生産管理には大きな落とし穴があるのです。具体的に皆さんの会社の生産管理を思い浮かべていただき、以下の問題を考えてみてください。

【問題】 減産時の生産管理方法として最適なものは?

 ある工場で、「a」「b」という似通った2種類の部品をA、Bの2本の専用ラインで生産していた。Aライン、Bラインともに作業者は10人で、各ラインで1日に100個を生産していた。

 ここで各ラインの生産を半分に減産することになった。その際にどのように減産すればいいのか、次の3案から最も適当なものを選べ。

 ただし、1個当たりの売値を100とした場合、原価は80(その内、人件費は10)とし、変動費原価法で計算する。また、ライン上には仕掛かり中の部品が100個あるとする。

<1案>

 人員配置は変更しない。減産となった50個分は空席として流し、ラインを稼働させる。

<2案>

 2人分の仕事を1人でできるように工夫し、A、Bそれぞれのラインを5人ずつの配置に減らす。各ラインとも、5人が1日50個ずつ生産する。

<3案>

 A、Bラインを統合して、1つのラインでa、bの両部品を生産できるように改善する。そこに10人の作業者を配置し、減産前と同じ速さで生産する。