投資家が債券購入に走るワケ

 投資家による債券購入ラッシュは理にかなっているのだろうか。

 今日の中国では物価が下落しているため、債券の実質利回り(名目利回りから物価上昇率を引き算した値)は上昇している。

 消費者物価指数(CPI)上昇率は辛うじてプラスを維持しているものの、国内総生産(GDP)デフレーターはすでに5四半期連続でマイナス圏に沈んでおり、直近では前年同期比マイナス0.7%となっている。

 中国経済は投資の占める割合が非常に大きいため、物価の指標としては経済全体を網羅するCPIよりもGDPデフレーターの方が優れている。

 債券の魅力は株式、不動産、貸付債権、預金などほかの資産の魅力にも左右される。

 中国の住宅不況にまだ終わりが見えないことから、家計は不動産の取得にほとんど関心がなく、国内企業は弱い消費と、中国政府によるテクノロジー業界締め付けの余波に苦しんでいる。

 その一方で、預金が魅力のある運用方法になるのは、金利が将来上昇すると予想する場合に限られる。

 景気の見通しが本当にさえないことを踏まえれば、中国の投資家が債券と金(ゴールド)に群がることは全く合理的だと思われる。